狂奏曲~コンチェルト~





「あー、授業遅れる!」
「ほら、早く行きなよ」
「じゃあな」

 食堂を出た後、新があわただしく授業に向かった。
 私はため息をついて歩き出した。

 そして見つけたのは、ベンチに座る灰色の人。

「翼君……」

 その姿を見ただけで、胸が苦しくなった。
 私は何も考えずに、彼に声をかけていた。

「翼君」

 驚いたように目を見開いた翼君の灰色の瞳に、私が映っていた。

 貴方のその綺麗な瞳には、わたしはどう映っているのかな?
 それとも、貴方は彼女のことしか見えていないのかな?

「こんなところでお昼寝?」

 私は翼君の隣に腰掛けた。
 翼君は困惑したように私を見て、

「彼氏はどうしたんだ?」
「授業に出たよ。私の授業はもうちょっとあとなの」

 そう応えた私は、ふと考える。

「翼君は、大変だね」

 思わず、そう言っていた。

「ん? 何が?」

 私の唐突な言葉に、案の定意味をつかめない翼君が聞く。
 私は先ほどの不愉快な光景を思い出して、

「だって、たくさんの女の子が翼君のこと見てるから」

 そうつぶやいた。
 翼君は苦笑した。
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