狂奏曲~コンチェルト~

「この見た目だから。もう慣れたよ」

 誰もが振り返るくらい綺麗な見た目をしている翼君。
 だけど、彼は一人の女の子だけを想い続けていて、彼女は彼を見てくれない。

「……でも、彼女は翼君を見てくれないの?」

 いたたまれなくて、哀しくて、どうしようもない。

「さあな」

 翼君は、哀しそうに続けた。

「彼女には、相手がいるからな」
「彼氏がいるの?」
「ああ」

 そうか、彼女には、彼氏がいるんだ。
 哀しくて、辛くて、涙が出そうになった。
 翼君は、彼女が他の人のものになっても、好きで好きでたまらないんだ。

 翼君が私を見て、顔を歪ませた。

「つ、翼君っ!?」

 気づけば、私は翼君の腕の中にいた。

「しばらく……このままで……」
「…………」

 哀しそうな、掠れた声で、翼君が私の耳元でささやいた。

 私は、翼君を受け入れていた。

「翼君、私でよければ、いつでも聞いてあげるよ」

 涙が出そうになった。
 震えている彼は、私を力いっぱい抱きしめている。
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