狂奏曲~コンチェルト~

「辛かったね……」

 どれだけの苦しみを抱えているのだろう。
 どれだけの悲しみを抱えているのだろう。
 私には想像もできない。
 でも彼は、それをたった一人で抱え込んでいる。

「翼君……」

 そんな彼が愛おしくて、助けてあげたいと思った。
 翼君が愛おしくて、そばにいてあげたいと思った。

 ふと、ぬくもりが私から離れた。

「ごめん」

 罪悪感で顔を歪ませた翼君が、謝った。

「いいんだよ」

 謝らなくていい。私は、翼君の力になりたいから。

「本当に、ごめん」

 頭を抱えて、また一人で抱え込もうとする翼君の手を、私は握った。
 驚いたように私を見る翼君。

「私は、翼君の力になれないかな?」
「……え」

 私は、貴方の力になりたい。

「私は、翼君を癒せないかな?」
「っ……」

 私は、貴方を癒してあげたい。


 私は、新と別れる決意をした。




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