狂奏曲~コンチェルト~
「それじゃあね」
「ああ」
授業が終わって帰っていくほのか。
それを見送り、俺は真っ直ぐと工学部の図書室に向かった。
携帯を確認すると、かなめからの「もうすぐ行く」というメールが入っていた。
絵文字をあしらった、可愛らしいメール。
それに口元を緩めて、俺はわかったと返信した。
かなめを待っている間、手近にあった本を何とはなしに飛ばし読みをする。
そうやってぼーっとしているとき、かなめが入ってきた。
「遅れてごめんね」
小声で俺の正面に座ったかなめ。
「いや、良いよ」
俺は微笑んだ。
かなめが可愛くて仕方がない。
俺とは違って表情をころころと変えるかなめが愛おしい。
「私、本当に物理やばいの。もう、崖っぷちなの!」
そう真剣に訴えるかなめに、思わず吹き出してしまった。
かなめは心外だというように顔をしかめて、
「冗談じゃないんだから笑わないでよ」
「いや、ごめん。あんまり可愛いこと言うもんだから」
さらりと言ったその言葉に、かなめが耳まで真っ赤になる。
「それじゃ、始めるか」
「う、うん」
かなめは気を取り直して教科書を取り出した。