狂奏曲~コンチェルト~

「そうだ。今度お礼に奢るよ!」

 そんなことを言うかなめに、俺は苦笑して、

「女の子に奢ってもらうほど困っちゃいないよ」
「えーっ」

 かなめは困ったように、

「それじゃあお礼ができないよ」

 口を尖らせる姿が可愛くて、思わず笑ってしまう。

「それなら、今度は俺に付き合ってもらおうか」
「え?」

 そんな言葉が口から出ていたのは、ほとんど無意識だった。

「今度、俺と一緒に出かける?」
「……そんなことでいいの?」

 かなめは小首をかしげて、微笑んだ。

「それでお礼になるなら、私、いつでも付き合うよ」
「かなめが一緒にいてくれると、嬉しいよ」

 素直に、そう言ってみた。
 すると、みるみるかなめの顔が真っ赤に染まった。

「そ、そんなこと言っても、何もでないよ」

 そんなかなめが愛おしくて、俺はそっと手を伸ばした。


 やめろ、と理性が叫ぶ。
 続けろ、と本能が呼ぶ。

< 118 / 301 >

この作品をシェア

pagetop