狂奏曲~コンチェルト~

「翼君は、冴島さんには冷たくしてたから……」

 俺は首を横に振った。

「ごめんな」

 俺はそのまま立ち上がる。
 それをかなめが驚いたように見た。

「約束は、なかったことにしてくれればいいから」
「えっ」

 俺はそのまま逃げるようにその場を後にした。

「くそっ……」

 図書室を出たところで、思い切り壁を殴った。

 いったい、俺は何をやってる。
 かなめに触れる資格なんかないのに……。

「翼君っ……!」
「っ」

 かなめが図書室から出てきたのを見て、俺はその場を去ろうとした。

「待ってよ!」
「っ……」
「お願いだからっ」

 己の本能が憎い。
 かなめに待ってと言われたら、身体が止まってしまう。
 かなめが俺の進路を立つように、正面に立った。
 泣きそうなかなめの瞳が、俺を見上げていた。

「変なこと言ってごめんね。気分……悪くしたよね……」

 尻すぼみになりながらも言うかなめ。
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