狂奏曲~コンチェルト~
この手でかなめを傷つけておきながら、そんな身勝手なことを思う俺。
かなめが俺のことを忘れていることを良いことに、言い寄ろうとしている俺。
汚くて、醜くて――何かが狂っている……。
そのとき、かなめが俺の手を握った。
「また、変なこと考えてる!」
「……え?」
かなめは怒ったように、
「翼君、そんなに自分を責めないでよ! なんで、そんな悲しい顔するの……?」
そう言って俺の手を握る手に力をこめた。
「そんな悲しい顔しないで。私まで、寂しくなるから」
かなめがぎゅっと俺の手を握ったまま俯く。
「私、翼君には笑っていて欲しいよ」
その瞬間、俺はかなめを抱きしめていた。
力いっぱい、かなめが壊れてはしまわないかと心配になりながらも、それでもぬくもりを感じていたくて。
かなめは、抵抗しなかった。
「……私、代わりでもいいよ」
ぽつりとつぶやいたかなめは、勘違いしている。
だがそれでも、卑怯な俺は何も言わずに、ただ腕の中の温もりを感じていた。