狂奏曲~コンチェルト~





 かなめが代わりでも良いと言ったとき、胸が張り裂けるかと思った。

 かなめがいったい何を考えているのかわからない。
 かなめには恋人がいるのに、そんなことを言うなんて思いもしなかった。

 これは、俺の妄想なのか?
 かなめが俺に何かしらの感情を抱いているような気がする。
 そんな、都合のいいことがあるか?
 待て、かなめが俺に近づいて、良いのか……?

 ベッドに寝転がりながら、延々と答えのでないことを考える。

 かなめのことが好きで、手に入れたくて仕方がない。
 だけど、それでかなめは何かを思い出すんじゃないだろうか?
だいいち、かなめには恋人がいるのに……。

 俺は、自分の右手を眺めた。
 この手を伸ばした先に、かなめがいる。
 俺が愛してやまない笑顔を、他でもない俺に向けてくれる最愛の人。


 俺は、この手を伸ばしてもいいか?
 その資格はとうの昔に無くしているけど、かなめに触れるには汚れすぎた手だけれど、それでも俺は、彼女に触れてもいいか?
 かなめが俺に笑顔を向けてくれるから、俺はそうしてもいいと錯覚しそうになる。
 でも、ほんの少しの間だけでもいいから、その幸せに触れてもいいか……?


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