狂奏曲~コンチェルト~

「すっごい可愛いよ」
「えっ」

 顔を赤くしているだろうかなめが、可愛い。

「さ、行こうか」

 さりげなく、俺はかなめの手を引いた。
 拒否されるかと思ったが、かなめはしっかりと俺の手を握り返してくれた。
 それが嬉しくて、今日まで生きてきて良かったと本気で思った。

「でも、水族館ってちょっと意外だった」
「ん?」

 かなめはふふって笑って、

「私、水が好きだから。服だって、水色にしたんだよ」
「そっか」

 入場券を買って、中に入る。

「水族館に来たの、中学生以来だよ」
「俺は、小学生以来だ」

 抑えられた照明の中、ライトアップされた水槽を見て回る。
 休日だということも手伝って、家族連れやカップルが目立った。
 一緒に歩いている俺とかなめは、彼らの目には恋人同士に映っているのだろうか。
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