狂奏曲~コンチェルト~

「今はさ、動物園の動物達だって折の中にいて見世物になった方が幸せなんだ」
「翼君?」
「だって、サバンナで走ってるところを密猟者に撃たれてしまったら、元も子もないだろ?自然に駆け回るよりも、安全を保障された場所で幸せでいた方が良い」

 かなめは少しだけ考えて、

「もし、人間なんかがいなかったら、動物達はずっと幸せだったんだろうね」
「愚かなものだからな、人間なんて」

 かなめが俺の手を握る力を強めた。
 俺はそれを握り返した。

「過ちを犯しても、それでも求めようとする」

 かなめが俺を見た。
 俺は、かなめを真っ直ぐと見下ろしていた。

「愛しすぎて、傷つけた。それでも、俺は求めずにはいられない」
「翼君……?」
「叶わない想いだとはわかってる。それでも、俺はやめられない」

 そのとき、かなめが顔を歪めた。繋いでいない方の手で頭を押さえた。

「かなめ?」
「……なんでもないよ、いつもの頭痛だから」
「有紀には言ったのか?」
「うん、病院でも診てもらったけど、偏頭痛だって」
「そうか」

 かなめは笑って、

「痛いのは一瞬だけだから。大丈夫だよ。さ、行こう、ショー見逃しちゃうよ」
「わかった」

 はしゃいでいるかなめは、本当に楽しそうで、見ているこっちの方が胸が痛くなった。
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