狂奏曲~コンチェルト~
「可愛いっ、なにあれ、飼いたい!」
「ペンギンって家で飼えるのか?」
「え、知らないよ!」
騒音に負けじと黄色い声を返すかなめが可愛い。
子供達の歓声に混ざって、かなめの透き通る簡単のため息が聞こえてくる。
隣に座るかなめばかり眺めていたら、かなめがこちらを向いた。
「翼君、私ばっかり見てる」
そう言いながら、かなめが少しだけ哀しそうに目を細めた。
その悲しそうな顔を見て、俺はやはり胸が苦しくなった。
「ごめんな、今日は付き合わせて」
「え?」
「彼氏に悪いんだろ?」
心優しいかなめが、彼氏がいながら俺と一緒に来て、何も感じていないわけがない。
しかし俺の言葉に、かなめは寂しそうに笑って、
「ううん。翼君、私、新とは別れたんだよ」
一瞬、何を言われたのかわからなかった。
「は……?」
かなめが何を言ったのか理解できず、間抜けな声が出た。
「この前別れたから、私今はフリーだよ」
「……別れたって、なんで?」
予想外の出来事に、脳みそがフリーズした。
こんなことを聞いたら、かなめが困るだろうに。
でも、かなめは真剣な面持ちで応えてくれた。
「好きな人が、できたから」
そう言って見つめ返すかなめの瞳には、戸惑いの表情を浮かべる俺が映っていた。