狂奏曲~コンチェルト~



 手を繋いで、ショーの会場を後にする。
 その途中で売店を見つけた。
 入りたそうなかなめの表情を見逃さずに、俺はかなめの手を引いてぬいぐるみが並んでいる売店に入った。

「なにか、欲しいものとかある?」
「えっ」

 かなめは少し困ったように、

「翼君が買わないのなら言う」
「なんだそれ」

 かなめは口を尖らせて、

「だって、今日は翼君へのお礼なのに、私が欲しいもの言ったら買ってくれそうなんだもん」

 俺はふっと笑って、かなめの耳元に口を寄せると、

「今日、かなめが俺のものになってくれたから、それでお礼はチャラだ」

 案の定、恥ずかしそうに俯くかなめは可愛い。
 本当に、かなめが俺のものになったのだろうか?
 これは本当に現実なのか?
 だけど、この手の中に在る温もりは本物だ。
< 140 / 301 >

この作品をシェア

pagetop