狂奏曲~コンチェルト~

「わ、みんな可愛い」
「かなめが選んでくれないか? 俺のと、かなめのを」
「え、良いの?」
「ああ」

 かなめは真剣にストラップと格闘を始めた。
 俺はそのかなめを眺めている。

「これが良い」

 しばらくしてかなめは二つのストラップを手にした。
 クリスタルのシャチのビーズがあしらってあるデザインだ。

「このストラップ、水色と薄い紫と、無色のビーズでできててね」

 かなめは二匹のシャチを合わせた。

「こうすると、ハートになる」

 そう言って照れるかなめの手から、俺はストラップを抜き取った。

「それじゃあ」
「えっ」

 そのまま有無を言わせず支払いを済ませる。

「ほら」

 ストラップを手渡すと、かなめはむすっと俺を見た。

「一緒に買おうって言ったのに」
「かなめに払わせるわけにはいかないだろ」
「翼君の意地悪」

 俺はにやりと笑って、かなめの尖った唇に唇を落とした。
 かなめは照れたように、口元を押さえる。
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