狂奏曲~コンチェルト~






「俺は、かなめと一緒にいられれば、それでいい」

 震えが止まらなかった。

「俺は、お前がこうして一緒にいてくれるだけで良いから」

 かなめを抱きしめそう言ったのは、

「何も、余計なことは考えなくていいから」

 俺の犯した罪を、かなめが思い出さないため。
 かなめが、俺から離れていかないように、繋ぎとめるための鎖。



「翼」
「ん?」
「なんでもない」
「なんだよ」

 俺の顔をじっと見て、ふふっと笑っているかなめ。

 工学部と理学部の間にある広場。
 俺達はしょっちゅうそこで時間を過ごすようになった。
 通りからは奥まった場所にあり、人の目に付くことは少ない。

「なんだよ」
「翼の目、綺麗なんだもん」

 そうやって目を細めて笑うかなめに、俺は思わずにやけてその頬に触れる。

「そんなこと言ってるかなめが可愛くて仕方ないんだけど」
「そんなこと言っても何も出ないよ」

 照れたように笑ったかなめが、一瞬顔を歪めた。
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