狂奏曲~コンチェルト~

「ん?」
「好き」

 私が言うと、翼が吹き出してしまう。

「なんでかなめはそんな可愛いこと言うんだよ」
「んー……だって、翼といると、伝えないといけないって気になるんだもん」
「……?」

 翼が首をかしげた。

「翼は、言わないと、なんか余計なこと考えそう」
「ふーん、それじゃあ、俺も好き」

 翼がそう言って、キスをしてくる。
 甘くて、優しいキスに、もの足りないような気分になる。

 これ以上を、求めたら駄目なのかな……?
 翼、私は翼と一緒になりたいよ。

 大切に扱われているような温もり。
 時折触れる、翼の手。

 翼、もっと私に触れて。
 私も翼に触れていたい。

 もっと。
 もっと。
 私を満たして……。

 それは、私の不安の現れだったのかもしれない。




< 160 / 301 >

この作品をシェア

pagetop