狂奏曲~コンチェルト~

 何もかもを知っていて普通に俺と接し、かなめとの関係を応援している有紀。
 何もかもを忘れてしまって、それで俺を選んでくれたかなめ。

 どうして、誰も責めない。
 いっそのこと、責められた方が楽だったかもしれないのに。

 全てを覚えているかなめに拒絶されてしまった方が、楽だったかもしれないのに。
 有紀に責められ、二度とかなめに近づかないように宣告された方が楽だったのかもしれないのに。

 俺が、何もかもを忘れてしまえば、楽になれるのかもしれないのに。

「翼」
「……」
「お前は、また余計なこと考えてる」

 有紀が、困ったように俺を見る。

「翼、お前は悪くない」
「っ」

 俺が、悪くない?

「お前な……あれは……」
「俺が全部悪かったに決まってるだろ?」
「おい、翼」
「俺がかなめから全てを奪ったんだよ。かなめの大切なものを」

 俺は逃げるようにその場を後にした。





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