狂奏曲~コンチェルト~
次の日、俺は理学部の前にいた。
滑稽かもしれない。
それでも、かなめに会いたかった。
灰色に染まった世界の中で、かなめだけが俺の中で色づいているようにさえ思えたから。
会えなくても良い。だた、一目姿を見られればそれでいいと思った。
だが、待っているうちに自責の念がこみ上げてくる。
いまさら、俺は何をやっている?
隣にいたかなめに何もできず、想いを伝えることすらできず、そして傷つけた俺が、いまさらかなめになにができる?
俺はため息をつく。
あまりにも愚かで、目も当てられない。
俺はその場を去ろうとした。
「二階堂さん?」
運命が残酷なのか、味方をしているのかは俺にはわからない。
だけど、俺の目の前には、驚いたように眼を見張るかなめがいた。
「おはよう」
笑いかけた俺は、不自然じゃないだろうか?
「おはようございます。こんなところでなにしてるんですか?」
かなめは、屈託のない笑顔で答えてくれた。
「君に会いたかった」
「えっ?」
「冗談だ」
俺の言葉に、かなめは頬を赤く染めた。