狂奏曲~コンチェルト~

「脅かさないでよ。でも、二階堂さんも冗談とか言うんだね!」

 にこりと笑うかなめに、思わず笑みがこぼれる。
 長い間、止まっていた時間が動き出したように思えた。

「かなめ?」
「あ、新! おはよう! 風邪はもういいの?」

 一人の男がかなめに声をかけた。
 かなめが心配そうに、そして嬉しそうにその男に声をかけた。
 その光景を見た瞬間、胸が張り裂けそうになった。

「それじゃあ」
「あ、ばいばい」

 その場を立ち去ろうとする俺に、かなめが笑顔で手を振った。

 かなめのことが好きで、どうしようもない。
 それでも、俺はかなめの幸せを奪うことはできない。
 願わくば、俺がかなめを幸せにしてやりたい。
 だけど、それは所詮夢物語だ。
 俺は、かなめを傷つけた男。
 かなめの過去に、暗い闇を落とした男。

 それでも――、かなめを想う心は止められない。


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