狂奏曲~コンチェルト~

「かなめを見ていたい。かなめを近くに感じていたい。だけど、かなめには過去を思い出してもらいたくない」

 有紀はじっと俺を見ていた。やがて口を開くと、

「ま、俺達が何を望もうと、全てはかな次第だ。かなには今男がいる。お前のことを気にしてはいても、深い感情ではないだろうしな」

 全ては、かなめ次第。
 思い出すも、思い出さないも。
 俺を拒絶するかも、受け入れるかも。
 全ては、かなめが決めることだった。



 有紀と別れた後、ぼんやりと構内を歩いていた。
 すると、駐車場に向かうかなめの姿を見かける。

「何、ストーカーしてるの?」
「うわっ」

 いきなり後ろから話しかけられ、驚いた。
 そこにはほのかが立っていた。

「お前、なんでここに……」
「翼のストーカーしてた」

 ふふっと笑う、ほのか。
 しかし突然真剣な顔になった。
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