狂奏曲~コンチェルト~

 思えばかなめがいなくなってから、ずっとそばにいたのはほのかだった。
 きっと、俺がかなめのことを忘れる日が来るかもしれないという、かすかな期待を支えにしていたんだろう。
 俺の中のかなめとの記憶が風化する日が来るかもしれないと。
 でも、俺はかなめと再会した。
 ほのかにとって、それはどれだけの絶望だったのだろうか。

 俺なんかに想いを寄せなければ、もっと違う人生があっただろうに。
 もっと前に諦めてしまっていれば、俺じゃない誰かに出会えたかもしれないのに。
 ほのかは、俺だけを追って、これまで生きてきた。
 そんなことを考えても、でもやっぱり俺はかなめしか考えられないわけで。

 だけど、今頃、ほのかがどうしているのかが妙に気になった。



 翌日、ほのかはいつもと変わらない笑顔で俺の隣に来た。

「おはよう、翼。レポートやった?」
「…………」

 そんなほのかの顔をまじまじと見つめる。

「何? あたしの顔に何かついてる?」
「いや、なんでもない」
「嘘ばっかり。あたしのこと気にしてるくせに」

 そうやって冗談を言って笑うほのか。
 俺は、思わず、

「ごめんな」

 謝っていた。

「え……」

 ほのかの顔が、凍りついた。
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