狂奏曲~コンチェルト~

「お前を選べなくて、ごめん」
「…………」

 ほのかの目が見開かれる。
 傍目にも蒼白になったのがわかる。

「本当に、ごめん」

 ほのかの唇が震えた。

「……でよ……」

 くしゃりとほのかの顔が歪む。

「謝らないでよ! あっ……あたしどんだけ惨めなのよ!」
「ほのか……」
「翼の馬鹿ッ……」

 ほのかは、そのまま教室を出て行ってしまった。


 その日から、ほのかと過ごす時間はほとんどなくなった。


「ねえ、二階堂君」

 気持ち悪いほどの猫なで声で近寄ってくる女。

「今日、空いてる?」

 ほのかと一緒に過ごすことがなくなり、前より女達に声をかけられる機会が増えた。

「なんで?」
「冴島さんと、別れたんでしょ?」

 これ見よがしに身体をくねらせアピールする目の前の女。
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