狂奏曲~コンチェルト~

「そっか、ならよかった」

 私は、昨日翼君と一緒にいたことを新に言うべきかどうか迷った。
 本当は言わなくちゃいけないと思うんだけど、でもやっぱり言いづらい。
 いくら優しい新でも、さすがにいい気分にはならないだろうから。

「かなめ?」
「えっ?」
「本当に大丈夫か?」

 ぼーっとしてたみたい。

「大丈夫だよ。ごめん、ちょっとぼーっとしてた」
「本当に大丈夫だな?」
「大丈夫だってば、大げさだな」

 私は新の手をぎゅっと握った。
 こんなところ、お兄ちゃんに見られたら怒られるだろうな。

「新の方こそ、もう風邪は大丈夫?」
「ああ、ちゃんと休んだら元気になった。でも、おかげでかなめ不足」
「なによ、それ」

 私の手を握り返した新が、笑った。

「朝からラブラブね」
「あ、香織」

 香織にからかわれ、私達は繋いでいた手を離した。

「かなめはいいなぁ。私も彼氏欲しいなぁ」

 そんなことをつぶやく香織に、私達は顔を見合わせて苦笑した。
 三人でわいわい言い合いながら歩いていると、香織があっと声を上げた。
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