狂奏曲~コンチェルト~

「二階堂さんだ」
「え」

 香織が出した名前に、過剰反応してしまう。
 香織の視線の先には、確かに翼君がいた。
 そして私は、冴島さんが哀しそうにそんな翼君の後姿を見ている様子に気づいた。

 その光景を見て、私の胸が誰かに掴まれたような痛みを覚えた。

 冴島さんは明らかに翼君のことが好きだ。
 でも、翼君は冴島さんのことを気にもとめていなかった。
 二人がどういう関係なのかは、私にはわからない。
 わかるのは、冴島さんが抱く翼君への気持ち。

「かなめ?」
「えっ?」
「何見てんの?」

 あらぬ方向を見ていた私を、新が不思議そうに見た。

「あ、えっと……」

 ずきっ……

「いっ……!」

 突然激しい頭痛が私を襲った。


 誰かが女の子と一緒にいる。
 一緒に笑いあっている。
 それを遠くから眺めているだけの私。

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