狂奏曲~コンチェルト~
「なんなんだよ、まったく……」
「女心がわかってないなぁ、二階堂は」
「わっ」
横からぬっと話しかけられ、俺は危うく鞄を取り落とすところだった。
話しかけてきたのは、隣の席の平沢だ。
「女心ってなんだよ」
「お前はいいなぁ。顔がいいってだけで女の子にもてはやされて」
俺は顔をしかめ、
「もてはやされてなんかいないだろうが」
「ほぉ~? 知らぬは本人ばかりなり、ってか。冴島もかわいそうに」
「は? ほのか?」
平沢は呆れたように、
「お前、どう考えても冴島はお前のこと好きだろ」
「はあ?」
ほのかが俺のことを好き?
ありえないだろ。
「お前な、鈍感すぎるぞ」
「冗談も大概にしろよ。それに、例えそうだとしても……」
「お前はかなめちゃんの尻にしかれてるもんな」
俺は平沢をにらみつけた。
「おお、こわ」
感情のこもってない声でおちゃらける平沢。
「ま、お似合いだわな、お前ら」
「は?」
平沢は羨ましそうに、
「俺にも、あんな可愛い幼馴染みがいたらなぁ」
俺は何も言わずに肩をすくめた。