激甘男子の愛し方
――ガチャッ
「あっ、やっと出てきた」
「……なんでいるの?」
このセリフは確か高校の入学式でも言った。
いるはずのない洸が、あたしと同じ高校の制服を着て、こうやって部屋のドアの前で待っていた時。
「真子を1人で行かせるわけにはいかないからだろ?」
「大丈夫だよ。ここから高校まで歩いて20分もかからないんだし……」
「ダメなもんはダメだ。真子を1人にさせるなんて心配だからな」
――ドキッ
朝から恥ずかし気もなくそんなことを言ってのける彼。
幼なじみの園田洸[そのだこう]。
「真子―、洸く―ん!」
「あっ、寧々さん呼んでる。寧々さーんっ!真子なら起きましたよ」
洸がお母さんに大声で返事をする。