激甘男子の愛し方


きっかけなんて分からない。



おじいちゃんが運ばれた夜に、あんな甘いキスを手に落とされた時かもしれない……



近づいてくる洸の瞳を、よけようとしなかったあの時かもしれない……




それとも、お見舞いであんな風に洸にとってのあたしの立ち位置を自覚した時かもしれない……




ただ、分かるのは……



あたしのこの想いは……雪のようにゆっくりと……




でも確実に積もっていたということ。





――あぁ……自覚してしまった。



気付いてしまった。




そうだ。


あたしは洸が昔から好きだった。



でも、洸がある日……



パパが亡くなってからすぐにあんなことを言うから……



――『真子のパパには僕がなる。真子を守る男が現れるまで、僕が真子を守る』




その時の洸の瞳が、小さいながらも本気だって分かったから。




だから……




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