愛を知りたい

痛む身体を起こし、台所へ行き包丁を手に取った。
「お母さん、今からそっちに行くね?」
目を閉じ深呼吸をして、お腹を刺そうとしたが、怖くて中々出来ない。

その時、お父さんの部屋が開いた。
あたしはびっくりして身体が固まる。
お父さんは「わぁっ!びっくりした…。」と言いながら冷蔵庫を開け缶ビールを取り出した。
カシャッ…
缶ビールを開けると
「今日は作るの早いな。」
とあたしの手元の包丁を見ながら言った。
あたしは毎朝卵焼きとお父さんのお昼ご飯を作っているので、包丁は料理のために持っていると思ったらしい。

ビールを飲むお父さんと目が合った。
「あ?」
お父さんは少し不機嫌になった。

また殴られる…!

いつの間にかあたしはお父さんのお腹を力いっぱい刺していた。

バンッ
持っていた缶ビールを落とし、その場に膝まずく。痛みに耐えながらあたしの長い髪の毛を引っ張るお父さんの首をもう一度刺した。

そしてお父さんが死んでいくのをじっと見ていた。
これであたしは幸せになれると思っていた。

次の日からお父さんのお兄さんの家で暮らすことになった。

「久しぶりだね。佳英ちゃん。」
「お久しぶりです。おじさん。よろしくお願いします。」

おじさんは独身で、独り暮らしだった。
独りで寂しかったから、佳英ちゃんが来てくれて嬉しいと言ってくれた。

おじさんはあたしを殴ることもなく、とても優しい。
可愛い服や文房具も買ってくれる。

そして中学生になり、友達も出来て、平凡な日々が続くと思っていた。

ある日、起きたら布団が血で汚れていた。
生理が来たのだ。
おじさんは急いでナプキンを買ってきてくれた。

4日後、血が止まった。
お風呂から上がり、部屋で漫画を読んでいると、おじさんが入って来た。
「どうしたの?」
あたしは漫画を読むのを止める。
「生理終わったの?」
「終わったけど。なんで?」
「さっきナプキン使ってなかったから。」
「あぁ、うん。」
そう言い読みかけの漫画に手を伸ばした時だった。

バンッ
いきなりベッドに押し倒された。
おじさんはあたしのズボンを無理矢理脱がす。
「止めて!!」
力ずくで抵抗するが男の力には勝てない。

そうして、あたしの初体験は終わった。
最悪だ、死にたいと思った。
次の日学校に行っても誰とも喋らなかった。
「なんかあった?暗いけど大丈夫?」
と言われ思わず泣いた。
それからみんなあたしには近付かなかった。

学校から帰り、おじさんが仕事から帰ってくる前に急いでお風呂に入り、部屋に鍵をかけ、ベッドにうずくまった。
いつもより早めにおじさんは帰って来た。
「佳英ちゃん、帰ってるの?」
あたしの部屋のドアノブをガチャガチャした。
体が震える。
「鍵、かけてるんだね。」
おじさんはそういうと部屋の前からいなくなった。
ホッとしたがその日も眠れなかった。

次の日いつも通り起きて学校へ行く準備をして部屋から出ると、リビングでおじさんがテレビを見ていた。
あたしに気付くと勢いよく制服姿のあたしを押し倒した。
「鍵かけてんじゃねーよ!」
そしてまたヤられた。

毎日セックスをされるようになり、毎日泣いた。

中学2年生の秋、あたしは家出をした。
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