シュガーレスキス
 だって、つらすぎる。
 私はこんなに聡彦を好きなのに、彼がゲーム感覚で私をおもちゃみたいにしてるんだったら、許せない。
 3ヶ月ほど耐えてきたけど、そろそろ限界だ。
 彼の低音の声で聞く趣味の話しは嫌いじゃないし、出来るならずっと彼の傍にいたい。
 だけど、好きな人からは純粋に好かれたいと思うし、もっと深く相手を愛したいと私は思っている。
 例え聡彦みたいに変わった方法だとしても、これが彼の愛情なら受け止めたい。

 私はそういう恋愛がしたい。

 そう思って、居酒屋を出て約束のキスをしようと聡彦が路地の暗がりで私に顔を近づけてきた時に、思い切って「やめて!」と声を出した。

「……何、急に」

 不思議そうな声で彼の動きが止まった。

 聡彦は私の心なんか見てない。
 どういう気持ちで彼のキスを今まで受けてきたかなんて全く分かってない。

「私は聡彦の何?玩具?もう限界……あなたが私に愛情を感じてないなら、今日限り縁を切るわ」

 言いたくても言えなかった心。
 思い切って口にしてみたら、何だか心がスキッとした。
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