あの夏の季節が僕に未来をくれた
それから兄貴の体をした俺の頭をクシャクシャっと撫でた。


撫でていた手を名残惜しそうに離すと、行ってきますと言って父は出掛けていった。


(俺は大丈夫だよ?)


そんな意味をこめた言葉は父に伝わっただろうか?


しんみりとした気持ちになりながら、朝食を食べ終えると、俺は母を真っ直ぐに見つめて言った。


「母さん、いつも美味しい食事をありがとう!

感謝して……る」


感謝してたって言いそうになって、慌てて現在進行形に言い換える。


母は驚いたような顔をしてから、クシャッと顔を歪ませた。


泣きそうだったのかもしれないその表情を懸命に笑顔に変えて。


「ありがとう……

そう言ってくれると作ったかいがあったわ?

……あなたのような息子を持って、お母さん……幸せよ?」


まるで死んでしまった俺へのメッセージのようにそう言った。


胸が苦しくなる。


もう母はわかってるんだろう。


だけど……


(ごめん、正体は明かせない)


「大袈裟だなぁ

でもそんな風に思ってくれて嬉しいよ

ありがと……

……じゃ、俺行くね?」


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