あの夏の季節が僕に未来をくれた
サドルも引き抜き、タイヤは空気入れのネジを緩めて空気を抜いた。


最後にブレーキのコードを思い切り引っこ抜き完成だ。


誰かがイタズラしたように見せかけられるだろう。


サドルを兄貴の自転車のかごに入れると、俺は急いでそこから立ち去った。


マンションを出てしばらく走った公園の辺りで自転車を止める。


そこにあったゴミ箱にゴトンとサドルを投げ落とした。


これでいい。


あとは処分してくれるだけで……


もう一度、自転車に跨がり学校へと向かう。


後ろめたい気持ちを振り払って、これから会うはずのすみれちゃんに思いを馳せた。


きっとまた悲しませることになるかもしれない。


だけど、このままじゃすみれちゃんはいつまでも俺を想い続けるだろう。


悔しいけれど、彼女には新しい恋をしてほしい。


結婚だって、出産だってしてほしい。


俺のことは……


ほんとにごくたまに、ハロウィンの頃、あんな人がいたっけって、思い出してくれるだけで充分だ。


校門をくぐり抜け、生徒用の自転車置き場に自転車を置くと、真っ直ぐに校舎へと向かう。


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