あの夏の季節が僕に未来をくれた
それほど俺の話をしたくないんだろうか……


それより思い出したくもないのかもしれない。


今さら俺の言葉を伝えようなんて虫がよすぎた。


もう彼女は言われなくても俺を忘れようとしてる。


まだ俺を想い続けてるなんて。


思った自分が恥ずかしかった。


「そうだよね?

……ごめんね?すみれちゃん」


謝ってそのまま立ち去るつもりだった。


忘れようとしている彼女にわざわざ伝えることなんてないんだと。


その瞬間……


彼女の頑なだった表情が急に崩れた。


泣きそうになるのを懸命に堪えたような表情で俺を見据える。


「……誰なの?

あなた……まさか……」


何を言ってるのかわからなかった。


急になんで?


肯定も否定も出来ずに俺もまた彼女を見つめる。


「……そうなの?

あなたなの?ねえ!答えて!」


叫びながら彼女は泣いていた。


俺は……どうしていいのかわからずに、ただ立ち尽くすしかなかった。


しばらくそうしていただろうか?


俺は気を取り直して、ごまかすことに決めた。


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