あの夏の季節が僕に未来をくれた
「それで?今日はどうしたの?

どこか体調が悪いとか?」


淡々とそう聞いてくる先生に、どこか違和感を覚えながら、俺は答える。


「俺、ここに来た時、どんな様子でした?」


一瞬、彼女の顔がピクッと反応した。


だけどそれを隠すようなぎこちない笑顔で再び俺を見る。


「……どんなって?」


「いや、あの……

なんかおかしくなかったかなと思って」


まだ迷ってた。


記憶がないことを話すかどうかを。


「別に……特に変わったことはなかったけど……

どうして?」


逆に聞かれたことに動揺した。


何もないと言われれば、それ以上突っ込んで聞くのも憚られた。


「いや、ならいいんですけど……」


結局、言えずじまいで俺は保健室を後にした。


先生は「また何かあったらいらっしゃい」なんてどこか悲しそうな笑顔でそう言ってくれたけれど……


先生が何か知ってるんじゃないかと思ったのは、この後の小さな事件がきっかけだった。


それは帰宅して駐輪場に自分の自転車を置こうとした時だった。


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