あの夏の季節が僕に未来をくれた
そんな俺を見て、母はおろおろと視線をさ迷わせる。


どう言い訳しようか、探してるように見えた。


「あの……これは……」


おどおどと、悪戯を見つかってしまった子供のように、母は言葉を濁す。


そんな態度が余計に俺をイラつかせた。


(息子が死んでんだ!別に仏壇の前で泣いてたっておかしくなんかないじゃないか!)


なのになぜ、母はそんなにコソコソと。


隠れるように弟を思い出しているんだろう?


わかってる。


それは俺のせい。


俺が父や母にそうさせたんだ。


弟に嫉妬してることも、妬んでいたことも。


全部引っくるめて、俺を受け入れようと努力してくれてたんだ。


きっと、俺がそうだったように、二人ともどうしていいのかわからなかったんだろう。


そう思ったら涙が出た。


さっきの自転車のことも、今の母の姿も。


自分が全て引き起こしてる。


そんな気がして、涙が止まらなくなった。


「雅紀……ごめんなさい

こんなつもりじゃなかったの

あの子のことはもうきちんと整理がついたはずだった……

あなたにはずっと寂しい思いをさせてきたこと……

本当に申し訳ないと思ってる

ごめんね?ほんとにごめんなさい……」


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