あの夏の季節が僕に未来をくれた
その瞬間、母の目からまた大粒の涙が溢れた。


俺の足にしがみついて、当たり前じゃない!って。


何度も何度も言ってくれた。


あいつも俺も、同じ母の息子なわけで。


あいつだから悲しいんじゃないって。


やっと理解できたんだ……


俺はゆっくりとしゃがみこむと、足にしがみつく母をそっと抱き締めた。


こんな風に母を抱き締めるのは、すごく不思議な気分だった。


だって、幼い頃は母がこうして俺を抱き締めてくれていたんだから。


いつの間にか、母はこんなにも小さくなっていたんだと、今……気付いた。


それと同時に俺は、あの頃のまま成長していなかったんだと思う。


体ばかりが大きくなって、中身は子供のままだったんだって。


「……ねぇ?もし俺が……

おかしくなったとしても……

母さんは俺を息子だと思ってくれる?」


さっきの映像が甦る。


あんな俺を見ても、母は俺を軽蔑しないでいてくれるだろうか?


自分の知らないところで、自分が何をしているかわからないなんて……


そんな俺でも。


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