あの夏の季節が僕に未来をくれた
「……雅紀はどんな風になっても、私の大切な息子よ?

だって二人とも、私がお腹を痛めて産んだ子供だもの……」


俺の腕を握りしめながら、力強くそう言ってくれた母の言葉は、俺の胸にダイレクトに響いた。


さっきのことを正直に話したとしても、真剣に向き合ってくれるんじゃないかって思った。


弟の病気にだって、あんなに一生懸命向き合ってあげてたんだから。


俺のこの得たいの知れない現象にも、一緒になって考えてくれるかもしれない。


そう思ったら何だか少しだけ安心することが出来た。


言ってみよう……


今、俺に起こっている奇妙な出来事を。


俺はまだ泣きながらしがみつく母の肩を、優しく引き離した。


「雅紀……?」


「母さんに話したいことがあるんだ……

……俺にもジンジャーティー……淹れてくれる?」


少し照れながらそう言うと、母はびっくりしたような顔をした後、嬉しそうに笑った。


「もちろん!」


そう言って立ち上がった母は、もうさっきまでの弱々しいものじゃなくて。


何でも話してごらんなさい、とでも言うような、頼もしい母親の顔をしていた。


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