あの夏の季節が僕に未来をくれた
「じつは……」


昨日の夜から記憶がなくて、気がついたら学校の保健室に立っていたこと。


家に帰ってきたら、弟の自転車が壊されていたこと。


犯人を突き止めようとして、管理人さんに防犯カメラの映像を内緒で見せてもらったこと。


その映像に映っていたのは。


まったく身に覚えがないというのに。


俺自身の姿だったこと……


俺が話している間、ずっと黙って聞いてくれていた母が、ほぅっと小さく息を吐いた。


「そうだったの……

じゃあ、今朝ここでお父さんと三人で朝食を食べたことも……覚えてないのね?」


(えっ!俺、朝飯まで食べてったのか?)


それは寝耳に水だった。


俺は勝手に家を抜け出して、学校に向かったんだとばかり、思っていたから……


「もしかして……父さんと母さんと……

なんか話したり……した?」


行動だけじゃなくて、会話まで普通にしていたとなると、ますます重症だ。


「言いづらいけど……

会話も……ちゃんと成り立ってたわ」


俺の寝てる間にそんなことが……


やっぱり……病気なのかもしれない。


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