あの夏の季節が僕に未来をくれた
もし、俺の中に眠る自分じゃ出来ない理想像を具現化してるんだとしたら。


それは弟が俺の中に入ってるって思うよりも、俺のもうひとつの人格だと思う方が理屈が通る。


だけど、あやふやな言葉とは裏腹に、母の目はあいつなんだと確信めいたものに見えた。


だとしたら、それ相応の理由があるに違いない。


「確かにその時はまだ気のせいかなって思ってた……

雅紀とも今までちゃんと話せてなかったのもあったしね?

だから、試してみたの」


「……試した?」


「そう、試したの

覚えてない?いつだったか、お母さんが雅紀にジンジャーティーを淹れたときのこと……

あの時、わざと好きでしょ?ってあなたに言ったのよ

その時のあなたを見て、確信したわ

やっぱりあの日の夜、お母さんが話したのは雅紀じゃなかったって……」

覚えてる。


あの時、俺は母さんに不信感を抱いた。


弟と間違えてるんじゃないかって……確かに思った。


それが、試されていたなんて微塵も思わなかったけれど……


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