あの夏の季節が僕に未来をくれた
「だけど、それだけじゃあいつだってわからないよね?

もしかしたら俺の別の人格なのかもしれないし……」


それでも母は首を横に振る。


「あの日、ただ進路のことを相談したかったんだとしたら、進学したいって言っても良かったと思うの

だけど言わなかった……

まるで雅紀が話しやすいように、お母さんに分からせたかったんじゃないかと思う口振りだったのよ

別の人格がそこまで主人格を気遣えるとは思えない

それに……

それだけじゃないのよ」


俺は愕然とした。


母はまだ切り札を持っていたんだ。


それだけじゃない、何かを。


俺の知らない俺の存在を……


「他にもあったんだ……

俺じゃないかもしれないって思うこと……」


母はゆっくりと申し訳なさそうに俺を見ながら頷く。


「それは……いつ?」


コクンと唾を呑み込むと、俺は母の言葉を待った。


もうここまで来たら、全て知る覚悟は出来ている。


「……今朝のことよ?」


(今朝?)


ということは、やっぱり俺の意識がない時間帯だ。


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