あの夏の季節が僕に未来をくれた
「はっ?……うん、まあ……そうだね」


矛先が急に俺になったことに若干焦りながら、俺はそう答えた。


「だろ?思春期の男が、そんなこといちいち母親に話すかっつうの

俺だってうちのお袋にそんな話したことないぞ?」


まったく母親ってのは過保護だな?って言ってるかのような物言いに、母は拗ねたように軽く父を睨む。


「だって、気になるじゃない?

あなたはあの子が男として……その……ちゃんと人を愛せたのかって気にならないの?」


「まあ、気にならないわけじゃないけど、いちいち言うもんでもないだろって話だよ」


「そうだけど……」


二人して弟の恋愛について議論するのを聞きながら、俺はこの場にいることが恥ずかしくなる。


同時に親って子供のそんなとこまで心配するもんなんだななんて、客観的に見ながら感心している自分もいた。


まあ、でも何の経験もないどころか、俺より経験豊富だったよなんてことは言えないよな?


そんなことを思いながら俺は苦笑した。


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