あの夏の季節が僕に未来をくれた
ハハッとお互い笑い合う。


こんな会話もいつものことだ。


「で?どうしたんだよ

病院にかけてきたってことは、患者のことか?」


「あぁ、そうなんだよ

うちの患者で10歳の男の子なんだけど、チック症状が出てて……

悪いけどお前んとこで診てくれないかと思って

紹介状はちゃんと書いとくから」


「わかった

一応、そっちで脳波の検査もしといてくれるか?

こっちだと初診になるからちょっと時間かかるだろうし」


「そうだな?わかった

じゃあその結果も一緒に渡しとくから」


「オッケ、じゃあ後で日にち確認してまた連絡するよ」


こんなやりとりも初めてじゃない。


俺は高校を卒業して、精神科医を目指して医大に進んだ。


それも子供を専門にした精神科だ。


理由は一つ――


弟みたいな子供を助けてやりたかったから……


両親も俺の進路に口を挟むことなく見守ってくれている。


なにより佐伯とは同じ医療の道を進むことになり、前よりももっと新密度も増したような気がするのは俺だけかな?


< 230 / 248 >

この作品をシェア

pagetop