あの夏の季節が僕に未来をくれた
「そっか、じゃあさ

墓参りが終わったら久々に俺んち来いよ」


「いいのか?

ほんと久々だよな?

おじさんもおばさんも元気?」


「あぁ、元気、元気!

相変わらずだよ」


ハハッと笑いながらそう話す佐伯の口調から、元気そうな両親の様子が窺える。


一年に一度ほどの佐伯宅への訪問は、俺の楽しみの一つだ。


高校生の頃からの付き合いは、佐伯の両親との仲も親密にしてくれた。


今では本当の息子みたいに接してくれて、自分の家よりも自分らしくいられる場所かもしれない。


そんなこと言ったら、父や母に怒られそうだなと俺は苦笑する。


やっとわかりあえた両親にも、やっぱり昔からのカッコつける癖は抜けないみたいだ。


話し合うことは出来ても、なんとなく気恥ずかしくて甘えることは出来ない。


そうこうしているうちに、8年の月日が流れたもんだから、もう甘えるには歳を取りすぎてしまったようにも思える。


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