あの夏の季節が僕に未来をくれた
翌日は雲一つない秋晴れだった。


ひんやりとした風が、そろそろ冬が近いことを知らせている。


俺はジーンズにシャツを羽織ったラフなスタイルで、弟の墓の前に立っていた。


あの夏、あいつが起こしてくれた奇跡に感謝しながら、ゆっくりと丁寧に墓石を拭いていく。


弟に近づけた気がするこの時間は、俺にとって大切なものだった。


毎年恒例になったこの行事も、ここに来るたび新鮮な気持ちになる。


あいつとの歳の差はどんどん離れていって、今では8歳も上だ。


成長した俺を見て、あいつはどう思ってるんだろう?


あいつみたいな子供を助ける道に進んだことを、喜んでくれてるだろうか?


もちろん、あいつに誉められたくてこの道を選んだわけではないけれど……





(やっと一人前になれたぞ?)





< 236 / 248 >

この作品をシェア

pagetop