あの夏の季節が僕に未来をくれた
「青木……くん?」


そう呼び掛けられて、俺はバッと勢いよく顔を上げて、母親の方を見た。


「……先生?」


そこに立っていたのはまぎれもなく先生で……


あの頃にタイムスリップしたかのような感覚に襲われた。


先生は少し大人の女性になったけど、相変わらず可愛らしくて、俺は懐かしさに頬を緩める。


「お久しぶりです、先生

元気でしたか?」


「青木くんも……元気そうだね?

すっかり大人になっちゃって、一瞬わかんなかったよ」


クスッと笑った顔は、あの頃と変わらないなと思う。


それより……


「なんで、ここが?」


「あ……あぁ、うん

実はね?あの夏が過ぎた頃、あなたのご両親が訪ねてこられて……」


それは初耳だった。


俺が先生とのことを話したあとってことだよな?


父も母も、あれからそこには触れてこなかったくせに、ちゃっかり先生に会いに行ってたなんて……


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