あの夏の季節が僕に未来をくれた
「すみません、俺が両親に話しちゃったから」


「ううん、大丈夫

ご両親には謝られちゃって……

かえって恐縮しちゃったくらいだから」


(謝りに?そうか……父も母も先生を傷つけたことを気にしてたんだな……)


「だから、思いきってお墓の場所聞いたの

最初はそれが、私を縛るんじゃないかって、なかなか教えてくれなかったんだけど……

逆にね?お墓参りすることで、思い出に変えられるんですって、押しきっちゃった」


ママ~と、ぐずったような声を出して先生にしがみつく男の子を軽くいなしてから、先生は言葉を続ける。


「それから毎年……

命日にはここに来るようになったんだ……

好きな人が出来たことも、結婚することになったことも、子供が生まれたこともね?

いちいち報告して、あの人は向こうでどう思ってんのかな~なんて」


8年間、毎年欠かさず先生はここに来ていたと言う。


しかも俺と同じような理由で……


ここであいつといろんな話をして気持ちの整理をつけてたんだ。


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