あの夏の季節が僕に未来をくれた
〈こんばんは

メールをありがとう

うちの高校ダメだったんだね……

なにもしてあげられなくてごめんなさい

でもS高に合格出来て良かった!

少し安心しました

保健室で会うことはないけど、もし何かあればメールでも相談に乗るからね?

あれから過呼吸はどうですか?

あまり無理はしないでね?〉


俺たちはそのメールをきっかけに頻繁に連絡をしあうようになった。


とはいっても、メールのやりとりばかりで会うことも声を聞くこともなかったけれど。


それからようやく彼女に会うことが出来たのは、俺が高校生になって初めての夏になる頃だった。


俺の通うS高校はN高校を通り越したもっと先にある。


当然帰り道はN高校の前の道を通るわけで。


ちょうどその帰り道に、前触れもなく俺は久々に発作を起こした。


自転車を傍らに止め踞る。


空気を求めるように喘ぎながら、鞄から紙袋を取り出した。


それを口に当て、何度か呼吸を繰り返す。


浅かった呼吸がだんだん深く出来るようになり、しばらくすると症状は収まってきた。


だけど顔色は最悪だったに違いない。


N高校の生徒がちらほらと帰る姿が見え始め、その誰もが遠巻きに俺を見ていた。


< 41 / 248 >

この作品をシェア

pagetop