あの夏の季節が僕に未来をくれた
ダメだってわかっていたはずなのに、俺は俺の傍で目線を合わせてくる彼女の後頭部に右手を添えて、余裕ぶった彼女の唇にそっと自分の唇を重ねた。


驚いて離れようとする彼女を強引に抱き寄せて、味わうように深く舌を割り入れていく。


今までにした誰よりもそれは俺を夢中にさせた。


これで最後かもしれないと思うと止まらなかった。


唇を離した時の彼女の表情は今でも忘れられない。


困惑していると思っていた彼女の顔は、意外にも恍惚とした表情を浮かべていた。


足に力が入らなくなり、俺に支えられないと立っていられないほどに……


俺のキスで感じてくれていることが嬉しくて、そのまま彼女をベッドに押し倒した。


ここが学校の保健室だということもすっかり忘れて、彼女の首筋に顔を埋める。


彼女の胸にそっと触れると、ピクンと躰が反応した。


「……ぃやっ!!」


そこでようやく彼女が我に返ったように俺の胸を押し戻してくる。


俺は仕方なく諦めて、彼女の上になっていた体をゆっくり起こした。


「ごめん……」


「なん……で?」


可愛い生徒を演じきれなかったことを申し訳なく思いながら、涙ぐむ彼女を見つめることしか出来ない。


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