麗しの彼を押し倒すとき。
彼の笑顔だけで、なっちゃんが吐いたボケの言葉ももうどーでもよくなってしまうから、こーすけはこの集団で唯一の癒しキャラかもしれない。
とりあえず部屋にあった椅子に座ると、先に座っていた凪がちらりと私を見た。
ただ目線を一瞬こちらに向けただけで、べつに何かを言いたいわけでもないらしい。
「お腹すいたなー」
私は今朝コンビニで買ったおにぎりを取り出すと、パッケージから中身を取り出し……一口食べ進めたところで、はたと手を止めた。
……バカか私。
勝手に連れてこられたのかもしれないけれど、何こんな状況で呑気におにぎり食べてるんだ。しかも、何気にちょっと馴染んでるし。
凪たちのせいで、ある意味感覚が麻痺していたのかもしれない。
明らかにこの状況は世間一般の人間からしてみると異常なのだ。
まず使われていない旧校舎に、こんな溜まり場があること自体おかしいし。
凪やなっちゃんがガラの悪い男に絡まれてたことだって、普通に生きていれば滅多にない。
彼らには……不透明な部分が多すぎる。
一口だけかじったおにぎりを机の上に置くと、おもむろに立ち上がった。そんな私の急な行動に、部屋にいた6人の視線が一気に集まる。
「ねぇ、みんなってヤンキーなの?」
自分の発した陳腐な言葉に、何言ってんだろうと笑い飛ばしたくなった。