麗しの彼を押し倒すとき。
それはこの場にいる6人もそうだったのか、少しの沈黙の後それぞれが笑みを漏らす。
「ヤンキーって……俺らが?ちょっと柚季っち面白すぎ!」
一人桁違いで爆笑してる波留くんは放っておくとして、残りの5人も笑っているのを見ると、どうやら私の陳腐な言葉には当てはまらないようだった。
「ヤンキーって、今時そんなの時代錯誤でしょ。絶滅危惧種だよ」
新しい棒キャンディーの包装を剥がしながら、なっちゃんが毒っ気をまじえて笑う。
何だかこんな光景を見ると、昨日お兄ちゃんに相談してまで心配していた自分が阿呆らしく思えてくる。
「そうだよね、今時そんなの流行らないよね」
「そうそう」
「もー心配して損した!昨日とかなっちゃん変な男に絡まれてるし、お兄ちゃんに聞いたら高校同士の争いは昔からあるんだーとか言うし。
そういえばみんなよく授業もサボってるし、なんかちゃんと教えてくれないからてっきり会わない間にみんなが不良になっちゃったのかと………」
そこまで言って、周りの異様な空気に言葉を切った。
さっきまで全員が笑っていたのに、今は一人も笑っていない。あの波留くんでさえ口元を少し引きつらせて固まっている。
「えーっと、」
今から続きを言ったところで、この空気はどうにもならないと思った。
どうやら私は彼らにとって、何か都合の悪いことを口にしてまったらしい。