麗しの彼を押し倒すとき。


立ち上がろうとして中腰になっていたのを思い出し、もう一度椅子へと腰掛ける。



「……桃子先生って先生っぽくないよね」

「ありがと。それ、最高の褒め言葉」


堅苦しいの嫌いなの。そう付け足すと脚を組み直す。

やっぱりその姿は先生っていうよりも、漫画で出てくる色気ムンムンの家庭教師、と言ったほうが当たってるような気がした。


結局この日、私は悪魔の囁きを受け昼の授業をサボったのだった。

< 78 / 162 >

この作品をシェア

pagetop