麗しの彼を押し倒すとき。
はしゃいでいる両親を尻目に、息をゆっくり吐きだし少し落ち着いて考えてみる。
うん、やっぱりそうだ。それしかない。
「ねぇ、」
意を決し、うきうきと浮かれている両親に向き直った。
私の改まった行動に、少しだけ落ち着いた母と目があう。
「私、日本に残るよ」
何故だか、やけに大きな決断をしたような気持ちになった。
私の声だけが意思を持ったように、静かになった部屋に響いていく。
この言葉が、決心が、この先私の運命を変えることになるなんて。
「ごめんね、高校はこっちで出ておきたいから」
この時は、思ってもみなかった。